兵庫県の「灘」、京都府の「伏見」、広島県の「西条」が
日本三大酒処といわれています。
そのひとつ、広島県の「西条」は、酒造家で吟醸酒の産みの親である
三浦仙三郎が生まれた場所。
この三浦仙三郎氏が編み出した"軟水醸造法"により、
ロあたりが柔らかく、芳醇で旨味に富んだ独特のまろやかさを持つ「広島酒」が生まれ、
その後、全国新酒品評会で上位を占めるようになり、
全国に知られるようになりました。
広島県産で特に良質とされているのが「雄町」「八反錦」などです。
広島県は、南は瀬戸内海に面し、北は中国山地を頂く。
その気温の違いは、温暖な地域と雪国並みの豪雪地帯とでは大きく異なり、
まさに日本の縮図を見るようです。そのため、同じ広島の酒であっても、
甘口から辛口、淡麗から濃醇まで味わいは多彩。
個性的な酒が県内各地の蔵で造られています。
広島杜氏が守り抜いてきた伝統技術、広島の酒は、
その確かな技術で全国からの目標の存在でした。
昭和50年代に、広島杜氏の手によって確立された技術。
それが、「YK35仕込み」と呼ばれるものです。
それまでの酒造りになかった技術だけに、広島が造った「吟醸酒」の概念は、
すぐに全国的なブームになりました。
当時、広島の考えた吟醸酒は、鑑評会のためだけに造る特別な酒でしたが、
一部の他県の蔵が、広島吟醸酒の研究を重ねて一般市販用に売り出しました。
この時、「従来の日本酒よりも香り豊かでフルーティー」と広くメディアで紹介され、
全国的な吟醸酒ブームを巻き起こし、全国どの蔵も吟醸酒は当たり前という時代が到来。
現在に至ります。
現在の吟醸造りの礎は、広島杜氏が守り抜いた伝統技術の賜物ものだったのです。